
――「飲む」じゃない、「食べる」んだ。
このスープには、それだけの価値がある。
正直、ナメてた。
カップヌードルの新作なんて、まあ「いつもの味変バージョン」だろうと。
けれど、「スープを食べつくす坦坦」――この挑戦的すぎるネーミングに、ただならぬ自信を感じた。
そして一口すすって、思わず立ち止まった。
……これは、“スープ”という名の料理だ。
◆「香り」から始まるドラマ
蓋を開けた瞬間、ぶわっと立ちのぼるのは香ばしい胡麻の香り。
そこにラー油の刺激的な香りが加わって、まるで中華料理屋の厨房にいるような錯覚を覚える。
お湯を注いで3分、ぐるぐると混ぜると、スープは明らかにとろみがある。
赤く光るラー油の層、ごまの粒、浮かぶ香辛料たち――。もうこの時点で、カップ麺の枠を軽々と飛び越えている。
◆「味」に一切の妥協なし
ひと口すすった瞬間、ごまのコクが舌を包み込む。
濃い、けれど重くない。まろやかで、深い。そして、あとから追いかけてくるラー油の辛みがまた絶妙だ。
辛さは「暴力」ではなく「演出」──旨味を際立たせるための、的確なスパイスとして存在している。
麺はいつものヌードル麺だが、スープのとろみと油分がしっかり絡み、ひとすすりで口の中がうまさの嵐。
特にこの坦坦スープ、飲むというより“舐めるように味わいたくなる”。
まさに「食べるスープ」の名にふさわしい、濃厚で複雑な味だ。
◆具材へのこだわりも隠せない
具材にはおなじみの「謎肉(ひき肉風ブロック)」、チンゲンサイ、ネギ。
だが、今回の謎肉はスープとの親和性が抜群。
じゅわっとスープを吸い、噛むと肉の旨味がスープと混ざり合って爆発する。
そしてチンゲンサイの存在感がすごい。
シャキッとした歯応えが濃厚スープの中でリズムを生み、単調になりがちな食感に鮮やかな変化を与えてくれる。
具材でここまで感動するとは、想定外だった。
◆レンゲですくう最後の一滴までが主役
カップヌードルを食べると、ふつうはスープが少し残る。
だけど今回は違う。
底に沈んだ肉の粒、ごま、香辛料──すべてが“食材”として生きている。レンゲを持つ手が止まらない。
「スープを飲み干す」ではなく、「スープを食べ尽くす」。
その言葉が、これほどしっくりくるカップ麺は初めてだった。

◆ちょい足しアレンジで“味の二段進化”を楽しめ!
坦坦は、ちょい足しでさらに化ける。
●すりごま
追いごまで香りとコクが爆増! スープが一気に“専門店風”になる。
●花椒(ホアジャオ)
しびれる旨さが加わり、本格中華のような刺激が口いっぱいに広がる。辛党にはぜひともおすすめ。
●粉チーズ
まさかと思うなかれ。坦坦の辛さとチーズのまろやかさが出会うと、奇跡が起きる。
一瞬で“中華×イタリアン”のフュージョン料理に変貌。クセになる旨さ。
アレンジするたびに、新しい顔を見せてくれる。これぞ「味の探求」だ。
◆ソフトドリンクペアリング──“飲み物”で余韻を操る
この坦坦スープに合わせたい飲み物。それはただの水ではもったいない。
●ジャスミン茶(無糖)
油分と香辛料をきれいに洗い流し、次の一口をより鮮明に引き立ててくれる。
まさに、坦坦の“相棒”と呼べる存在。
●辛口ジンジャーエール
辛味のシンクロで“刺激の競演”。スパイスの余韻を際立たせながら、あと味を爽やかに切る名脇役。
逆に、甘すぎる炭酸ジュースはミスマッチになりやすい。
坦坦の持つ繊細な香りとコクを壊してしまうからだ。
ここは、飲み物にも“ペアリングの美学”が求められる。
◆結論──「これは、カップ麺という名の料理だ」
「カップラーメンなんて所詮ジャンクフード」
そんな考えを、根本から覆された一杯だった。
「スープを食べつくす」という言葉は、ただのキャッチコピーではない。
その名の通り、一滴残さず“食べたい”と思わせる完成度。
濃厚、だけどクドくない。刺激的、だけど上品。
食後には、ラーメンを食べ終えたというより、“料理を完食した”満足感が残る。
あなたのラーメン人生に、こんな一杯があってもいいじゃないか。
カップヌードル 坦坦、ここに極まれり。
